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■第9回ホットセッション「SIG報告会」 ■
- 『SLA/SLMについて』
「SIG報告:なぜSLA/SLMなのか?」 中田雅弘 (株)日立製作所
S-open第2回ホットセッションがきっかけとなり、活動を開始した。集まったメンバーは、
国内参考文献
が希少であるという共通の課題を持っていた。そこで、後援者共通の参考
文献「Foundation of SLM」の翻訳をし、理解を深めると共に、業界貢献を狙った。本書は、
11月に刊行を果たした。
SLAをイメージしてみよう。初めてダチョウのステーキを焼く事になり、客人に振舞うとき、
満足してもらう為にレシピと温度計を用意し、焼き方の議論を客人と交わして満足を得る。
これが正にSLAである。ITビジネスの世界に転じれば、適正な価値で提供者と利用者がサー
ビス内容の約束を交わす事であり、これはまたPDCAサイクルによって保全、向上されなけ
ればならない。これがSLMである。
「SLM:サービスレベルマネジメントの基本」 向井清:住商情報システム(株)
利用者とシステム提供者との間にはギャップがある。利用者の業務上の優先順位に従い、
許容できる費用で確実に、適切なレベルのサービスを提供するために、統制の取れた積極的
な方法論と手順が必要である。
なぜSLMを導入するのか。SLMを導入せざるを得ない理由は6つある。これらはシステム
提供者が伝統的に抱えている問題の解決指針を示している。SLMの運用には注意が必要だ。
利用者が知覚できる要素で設定しなければならず、タイムリー且つ充分な報告が必要となる。
SLAには推奨される決め方があり、又、そのガイドラインも幾つか公開されている。又SLMの道具
としてデータ収集や管理のツールが市場に出ているが、これにもいくつかのドメインとそのガイド
ラインが公開されている。
SLMは守りの道具と捉えられがちだが、攻めの姿勢で取り組まなければならない。利益戦略を
立てる事が慣用である。そして商用サービスとしてのSLMの活用を推進するべきだ。
刊行した本は、非常にコンパクトに読み安いものと自負している。エンドユーザーへの説明に
利用して頂きたい。
- 『オフショア開発 成功の条件』
「SIG報告」 大西建児:(株)エス・キュー・シー
第14次ソフトウェア品質国際ワークショップがきっかけ。企業でのオフショア開発成功事例、
失敗事例を元に、成功条件を研究した。6回のオフミーティングとメールでの議論を経て、論文
2編に成果を纏めた。
来年度は本の刊行を目標に活動を継続中である。
「オフショア開発の現状」 野田正道:(株)日立システムアンドサービス
オフショア開発は、労働生産性の向上の観点で注目されているが、その歴史は1980代末の
大規模システム開発における技術者不足に遡る。1990年代にはオープン化の波により更に
その傾向に拍車がかかり、現在では、「グローバルソーシング」の波が、開発現場にも現れている。
オフショア開発は、比較的大企業を中心に実行されているようで、ある調査では17%が経験有
との回答であった。しかしながらその継続性は低く、64.4%が撤退している事から、成功率は低い
と考えられる。
本SIGでは、S-open会員企業及びその発注先(海外ソフトウェア会社)を対象に調査し、実態
把握を試みた。その結果、仕様齟齬、コミュニケーション、オーバーヘッドの3つの問題をクローズ
アップでき、考察の結果対策を提案できた。
「海外ソフトウェア開発の効果的な進め方」
アンケート調査の結果、国内開発と比較して、コミュニケーションの難しさなどの問題が大きく
現れた。これからオフショア開発を広める為に、経験者のノウハウの蓄積と伝承を進めるべく、
研究活動に取り組んだ。
失敗事例を5つのカテゴリに分けた。更に原因分析した結果、問題の起因元は、発注元(日本)側
発注先(海外)側、そして双方にある場合がある。
これらを踏まえると、PMBOKの知識エリアをベースにした実践的対処指針を提示できる。1人月
の言語変換開発委託という小さな案件を想定し、25項目の対処推奨項目を提言した。
アジアにおけるソフトウェア開発状況は、グローバル化に向かって勢い著しい。
Q.ソフトウェア工学に基づく技術習得という事が必要とあるが、どのような活動をすべきか?
学卒のレベル低下、情報処理試験の合格率低下等、教育活動への提言等、もう一歩踏み
込んだ情報発信を望む。
A.SLCPの理解、SWEBOK等への取組みをし、たたき台の適切な提示ができるようにすべき。
Q.オフショア開発比率を高める為に、国内業者比率を低くしないとならない事が難しい。早めの
申告、他の発注先の斡旋等、ケアが大変。方策はあるか?
A.海外開発ベンダーとの付き合い、及び斡旋を国内の協力会社に進める。
Q.協力会社を減らす方針にそぐわない。
A.製造業では技術力の高い国内へ回帰志向である。国内企業と海外企業の使い分けが重要となる。
Q.日本のソフトウェア開発者と中国等のやる気度。
A.国内外の関わらず、会社によって千差万別。上海の事例では、大手企業は日本と同じ雰囲気。
ベンチャーはインセンティブで信賞必罰。ハイリスクハイリターン。離職率7%。自己退職2%。
『モチベーション研究〜人の心を掴む究極のプロジェクト管理』
「SIG報告」 富澤和美:リンク情報システム(株)
経験則としてモチベーションの重要性を感じているが、実際にどうしたら良いのかわからない。
これを提言する事を狙いに活動した。メール中心のコミュニティ活動が成功せず、SIGとして
再スタートし、高いモチベーションを保って活動した。
1.ひと呼吸おく 2.はじめよければ全てよし が成果のキーワード。モチベーションマップの
作成と、日本的モチベーションの研究が今後の研究テーマである。
「ソフトウェア開発プロジェクトにおけるモチベーションを維持する為の
コミュニケーションの考察」 田村 智幸 NTTコムウェア株式会社
プロジェクトの成功と失敗の主な原因として、メンタルな側面が語られる。このうちの大きな観点
としてモチベーションが語られるが、本SIGでは、モチベーションを高めるコミュニケーションに着目
し研究を進めた。
上司と部下の関係で言えば、部下の発言のメタ意味を受容できずに、コミュニケーションを失敗
する事が良くある。コミュニケーションにおいて、受容理解と反応は別物だと理解するのが肝要だ。
PMBOK等のプロセス論が日本になじまない理由として、日本の家族的コミュニケーション文化が
影響していると考える。日本において上司が親とみなされるとすると、母として受容し、父として命令
する必要がでてくる。この2つの役割をリーダーが実行しなければならない。
受容から論理過程への移行は急がず、一呼吸おく、補佐をおく等する事が解決策である。
「プロジェクトとを成功に導く立ち上げ時のモチベーション施策」
田川 陽次郎 キヤノン株式会社
開発現場で困っている問題・課題をモチベーションの切り口で解決する事を狙い、研究を進めた。
昨今の動向として、コスト、品質、工期への要求が高まるばかりである。特に小規模短納期の
プロジェクトが多い。モチベーションのような人間系の問題がプロジェクトに与える影響は、主に
時間の無駄遣いにつながる。短納期を実現するには、プロジェクト発足時に短期にチームを確立
する事が重要で、様々な動機付けイベントが行なわれている。キックオフミーティングもその一つ
である。情報、価値を共有し、メンバーの不安感を取り除く事が目的だが、本SIGでは、
「プロジェクト憲章」の作成と、オンゴーイング・キックオフミーティングフレームワークによる運営を
提案する。
「プロジェクト憲章」はプロジェクト運営中にしばしば再確認されるべきであり、これがプロジェクトの
方向性を合わせる事につながる。これを組み込んだ運用フレームが、オンゴーイング・キックオフ
ミーティングフレームワークである。
Q.組織にとって、モチベーションが最適というのはどんな状態?
A.メンバー全体が楽しく仕事が出来ているということ。
Q.「プロジェクト憲章」では、毎朝9時の全体ミーティングを推奨しているが、フレックスは廃止した
方がいい?
A.廃止している企業も実際にある。フレックス制では、コアタイムに実施すれば良いだろう。毎日
定時に実施する事が大切。
Q.モチベーションに測定方法はあるか?
A.提唱され始めており、ビジネスにもなっている。我々の研究会でも最大関心事の一つ
Q.チームサーベイを実施したら、エクストリームプログラミングのチームは、特にモチベーション
が高かった。
A.同じ事例を聞いている。メンバーの参画意識の高さが影響すると推測できる。しかしながら
チームの立ち上げには苦労するそうである。
『ソフトウェアメトリクス』
「SIG紹介」 堀明広:パナソニックMSE(株)
メトリクスは形式として充分普及しているが、有効活用されているか疑問である。又、メトリクスを
使って現場改善をしたいQAエンジニアは、その効果を疑問視され、現場部門の反発を受ける事が
よくあるのではないか。
ソフトウェアメトリクスを開発管理に本当に役立てるために、理論だけでなく、可視化された活用
方法を研究したい。
活動計画としては、まず文献等から情報収集し整理する。成果はポータルサイトとして公開、
提供する。その後、活用方法を研究史、メトリクス活用モデルを構築する。
メーリングリストによるコミュニティ活動で、疑問、悩みテーマに議論し、重要なテーマはオフライン
活動であるSIGで研究する。
一緒に悩みたい人はご連絡下さい。horia@aqua.ocn.ne.jp
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