ホットセッション

■第8回ホットセッション「短期開発Part2」 ■

  1.  『アジャイルなモデリング手法のエッセンス』

     オージス総研 藤井 拓 氏 
     
     ・アジャイルなモデリング手法の考え方で鍵となる成果物の考え方を中心に、従来の開発方式である
      ウォーターフォール型と反復型規定的開発方式である統一プロセス(ラショナル統一プロセスを含む
      )と、反復型非規定的開発方式であるアジャイル開発(XPとAM)について比較をして説明いただいた。
      アジャイル開発のポイントとして大きく以下3点を強調。
      @規定的(≒反復内で垂直分業を行う方式)の弊害(官僚主義)を防ぐ
      A開発作業の簡素化(非専門化) 
      Bチームワーク
      また、XPは品質が高いシステムを実現する方法論としては有効である反面、システムのあるべき姿
      (要求)を考え、議論する手段やスキルを軽視している点で限界がある。
      AM(アジャイルなモデリング)は、XPでは弱い要求モデリング等を補う方法としてScott Amblerが
      モデリングテクニックを活用しXPの価値に‘謙虚さ‘を追加し、開発プロセスを補完するものである。
     
      Q:AMではスキルが求められるのでは?
      A:必ずしもモデル手法を知らなくてもよい。新人であれば、好奇心があり新しいことをやっていくこと
        が出来る人が向いている。ベテランの場合は、意識改革が必要だがコーチ役になれるし、構造
        化モデル等の過去の経験が役立つ。
      Q:80〜100人規模でアジャイル開発をする方法が考えられるか?
      A:統一プロセス(ラショナル統一プロセスを含む)とXP、AMを使い分けていくことが有効ではないか。
        例えば、少人数でアーキテクチャーを決めた以降、パラで開発するとかいうやり方が考えられる。 
     
       

  2. 『モデル中心開発で変わる短期開発』

     東洋テクニカ・ソフトウェアソリューション 二上 貴夫氏

     ・QCDの相互作用の関係から紐解き、短期開発とQCDの関係について説明いただいた。
      コストを投入することによりデリバリを早くすることができ、品質もあがる。
      品質が上がれば手戻り費用も少なくなりコストも提言させることが可能。
      この前提にたち、いかに早く作るかという観点から『モデル中心開発』による短期開発
      についてご講演いただいた。
      シンプルでわかりやすく、最利用できるモデル作りが短期でかつ品質を上げることに繋がる。
      そのためにはソフトウェアエンジニアの能力・技術力をさらに上げ、資本投資することが重要である。
      また短機開発のポイントとして大きく以下3点を強調。
      @開発するコード量の低減 A一回作ったものの有効活用 Bアクション記述
      これらを個々の開発の中で工夫することが「うまくいくコツ」である。

    Q:Excecutable UMLの良いツールはないか?
      A:オージス総研等で製品化されているものがいくつかある。

  3. 『オープンソース統合開発環境Eclipse,その広がる可能性について』

     日本アイ・ビー・エム 株式会社 榊原 彰 氏 

     ・オープンソース統合開発環境Eclipseについて、その生い立ちと製品の特徴をデモを含め説明いただいた。
      Eclipseの特徴として大きく以下4点を強調。
      @開発ツールを統合するためのプラットホーム
       →Eclipseを土台として様々な開発ツールの統合が可能
      ACML(Common Public License)の適用
       →商用の利用を可能にした
      Bプログラミング言語中立、コンテンツ中立
       →Javaがよく使われているが、COBOL,C/C++,PHP,Perl,HTML GIF等でも使える
      Cプラグイン拡張環境
       →2003年12月現在600種以上ある
      また、Eclipse3.0(最新版)は2004年4月にリリース予定。

      Q:EMF(Eclipse Modeling Framework)でコードの自動作成によって、どの位生産性が向上したか?
      A:単純に比較はできないけれどもハンドコードは三分の一で済んだ。

  4. 『パネルディスカッション』
     
     テーマ「短期開発の現状課題と今後の期待」
        
      司会 オムロン株式会社 福井
      パネラー 株式会社 オージス総研  藤井 拓 氏 
           株式会社 東陽テクニカ  二上 貴夫 氏
           日本アイ・ビー・エム 株式会社 榊原 彰 氏 

      今回のパネルディスカッションを行うにあたり事前にS−open会員へのアンケートを実施し、その結果を最初に報告した。
      特に『短期開発で困っていること』また『工夫していること』であげられた点に対する各パネラーの意見を伺った。
      さらに会場からの同様な質問に対するディスカッションも活発に行われた。

      ・品質保証としてのデータの計測について
        →短期開発向けの計測尺度を考えなければいけない。
        →要求管理ツール等を利用してデータを収集する。
      ・モデリング手法の選択
        →文脈によって帰るべき
        →開発コストによって見極めるべき
      ・開発の標準化
       コーディング規約や設計ルールを決めても守られない。
        →必要以上の標準化は必要ない。
        →本質的に必要な部分だけを標準化する。
         (デザイン・アルゴリズム・イディオムetc.)
      ・開発者のスキル
       短期開発の場合個人のスキルに依存する場合が多い。
       アジャイルになればなるほど”自分に依存する”
       →スキルを上げるには継続的に地道な取り組みが必要。
        PSPは効果がある。生産性、品質の向上に繋がる。   
      ・アーキテクト、アナリストの資格付け
       日本ではあまり資格付けに対して進んでいない。
       →ITSSでテンプレートはあるが、どう活用するかはそれぞれの会社で決めていかなければならない。

     まとめ
      ・一人の人の作業量・スキルが必要。
      ・複数の選択肢の中から必要なものを見極める。(計測尺度等)
      ・短期開発もいろいろな工夫を積み上げることにより良いものが出来てくる。