ホットセッション

■第7回ホットセッション「15504の動向とソフトウェアプロセス改善(SPI)の実際」 ■

  1. 講演1: 「PA/PI/PCD国際規格15504の現状と問題」
    講演者: 伏見 諭 氏 (株)情報数理研究所 専務取締役
    講演内容概要:
    ISO/IEC15504の規格および各国の動向に関する講演。ISO/IEC 15504は、プロセス改善および供給者のプロセス能力判定のためのものであり、Part1-5で構成されている。JIS化も作業している。日本政府の動きは、ソフトウェアエンジニアリングセンター記事(日経コン・5月号記事)が正しい。
    主な質疑応答
    Q:適合モデルの概念とは?
    A:15504はアセスメントモデルとアセスメントのやり方に関する要求の規格である
  2. 講演2: 「データの計測とレビューの活用」
    講演者: 新原 直樹 氏 オムロン(株) SSBカンパニー 公共ソリューション事業部 主事
    講演内容概要:
    自社のプロセス改善活動について、特にレビューに注目しながらその改善の経緯を説明していただいた。レビューとフィールド不具合や市場クレームなどのデータ分析結果からレビューの重要性と効果を実証し、公式レビューの最徹底、チェックシートの活用などの改善活動を展開した。
    主な質疑応答
    Q: 品質メジャーの目標値の設定方法は?
    A:過去の実績値を分析して設定しているが、レビュー工数比率以外の基準値はあまり見つからない。設計工程でのバグの発生数について、多いほうが良いのか少ないほうがいいのかも議論がある。開発背景をみながら品質を判定するようにしている。
    Q:レビューの再活性化するためのヒントを教えて欲しい
    A:どのようなレビューをどの程度すればいいのかを具体的にルール化して推奨した。レビュー観点は具体的に明示し、押しかけてもレビューを実施した。
    Q: 問題点の特定と具体策の挙げ方はどのようにして進めたのか。
    A:CMMなどの結果も参考にしながら、現場と議論しつつ問題を特定していった。具体策は、1年後にこうなりたいという姿を描いて、立案した。
  3. 講演3: 「日立ソフトのCMMIによるSPI活動について」
    講演者:男澤 康 氏 日立ソフトウェアエンジニアリング(株) 産業システム事業部 主任技師
    講演内容概要:
    日立ソフトエンジニアリング(株)におけるCMMIを活用した品質、生産性向上の取り組みをご紹介いただいた。2001年から着手して、現時点では全部門がレベル3を達成した。進め方は、SEIのIDEA・モデルに従って進め、SEPGを設置して、アプレイザルを実施しておこなった。
    成功のポイントは、CMMIはツールとしてとらえ、戦略をもって、良いところだけを使うことが重要であった。活動の効果としては、従来の開発プロセスがCMMIの観点から見て妥当と判断でき自信を得ることができたことと、その中でも現状の強み、弱みが明確になり改善サイクルが回りだしたことである。
    主な質疑応答
    Q:プロセスQAを改善していくための方法を教えていただけませんか?
    A:プロセスQAの計画書、チェックリスト、指摘書、報告書と言う形で改善サイクルをまわすようにしました。 具体的には1回/週、プロダクトQAとプロセスQAに関する報告書をトップに行っています。
    Q:今回のプロセス改善のスコープを教えてください。
    A:SWだけです。
  4. 講演4: 「CMMIレベル5達成事例のご紹介」
    講演者:真野 俊樹 氏 日本電気 (株) システムソフトウェア事業本部 ソフトウェア生産技術部長
    講演内容概要:
     ・ 2月に公式appraisa・を受け,レベル5を達成。(国内初)
     ・長期に渡っての取り組みの結果
    品質向上活動の経緯
     ・ SWQC活動。過去20年に渡っての取り組み。
     ・ 20年前は品質が悪く,バグが頻出してお客様にご迷惑をおかけしていた。これが活動のきっかけとなった。
     ・ 品質管理に関しては,「品質会計」という考え方を取り入れている。これは過去の経験から予測したバグを摘  出していくという考え方。この為,バグ・工数・成果物数などの定量データを収集する仕組みを作り,これを電  子化した。その後StarOfficeによるワークフロー機能,Web化などを実施し,ISO9001を2000年に取得。
    CMMI導入の目的 / Appraisa・の目的
     ・ グローバルな開発,グローバルなセリングのため,グローバルな基準での評価が必要
    取り組み
     ・ ソフトウェア生産技術部(各事業部共通で管理する部署)のメンバーが中心となった
     ・ レベル2〜5のプラクティス(500項目程度)をマトリックスを使用して管理。要求事項,取り組み,エビデン ス  などを切り分けて管理。(マトリックス上の「・」付きは直接成果物,無しは間接成果物)
     ・ 評価開始当初,8割程度は何らかの形で準拠していると判断
     ・ ISO9001対応だったプロセスをCMMI対応に変えた
     ・ 開発計画書(特にリスク事項に関して)が弱い→リスクの定量化・フォローなどを強化
     ・ 品質プロセスマップを作成。品質指標を作成した。
     ・ 改善の費用対効果を強化
    公式appraisal実施・評価
     ・ モデル: CMMI-SE/SW
     ・ 対象:4プロジェクト(それぞれ約500項目 = 約2000項目)評価。PAは22個。
     ・ 所見作成
     ・ 達成のポイント
        → プロセスマップ(品質マネジメントシステム全体の明確化)
          => 各プロセスについて詳細なプロセスチャートを定義
        → 仕組み・ツールの有効活用(定量的プロジェクトマネジメント)
           => Excelで作成された開発計画書の有効活用(開発計画書の自動チェックなど)
           => 上流工程,テスト工程で自動チェック(テスト工程はグラフ化も行う)
           => 目標管理(許容範囲の設定とアラームの設定)→差異分析・原因分析実施
        → QMTXによる一元管理
           => プロセス実績情報共有ホームページ
           => ワークフロー機能で,QMTXデータベースへの蓄積とWebへの反映を自動化
        → 課題収集と定量的評価
           => 改善事項の収集→改善案選択→予防処置報告書→定量的効果確認
           => 改善検討にもExcelシートを活用。定量化し判断材料とする
           => 効果を確認するための方法もあらかじめ規定し,ベースライン改訂に反映
           => 継続的改善が必要(例: 顧客満足度向上,サイクルタイム短縮など)
    今後の課題と対応
    ・ グローバル活用の拡大対応
    ・ IPPDやSSへの拡大
    ・ Appraisa・に頼らず自発的に改善継続

    主な質疑応答
    Q: SEPG,SQAの要員に関して教えて欲しい。
    A: 開発要員NECが500名,バックのインド・中国などを入れるともっと。SQAの具体的な数・割合はわからない。SEPGに関しては1%に満たない人数で実施している。
    Q: QMTXもSEPGのメンバーで開発したのか。
    A: そうです。

  5. パネルディスカッション概要「日本発のプロセス改善アプローチ」
    パネリスト: 金井治樹氏(東芝ITソリューション(株))、島田さつき氏(富士通(株))、
    伏見諭氏 ((株)情報数理研究所)、新原直樹氏(オムロン(株))、
    真野俊樹氏(日本電気(株)) 北嶋義弘(NTTコムウェア(株)、司会兼)
    SPI活動内容紹介(パネリストの各社)と「今までのプロセス改善活動において、とりあえず成功したと考えていることは何か?」という質問に回答してもらい、その内容をベースに討論した。日本では、ISO9001、CMM/CMMI、ISO15504等のプロセス改善がブームであるが、それらの国際標準と自社のプロセス改善活動とのハーモニゼイションをうまく行っていくことが望まれる。つまり、モデルありきではなくソフトウェア開発の現場で困っていることを解決していくことが重要であると結論づけた。